お金のことを考えるとき、私たちはつい
「足りるか・足りないか」
「増えるか・減るか」
という数字の世界だけで見てしまいます。
通帳の残高、クレジットカードの明細、レジで支払う金額。
どれも数字ばかりが目につきます。
すると、お金はだんだん
「不安」や「恐れ」とセットの存在になります。
「また減ってしまった」
「払うのがこわい」
「使うと罪悪感が出る」
――そんな気持ちが、いつの間にか当たり前になっていきます。
けれど、本来のお金は、ただの紙や数字ではありません。
誰かの時間、手間、工夫、才能が形を変えて集まった「エネルギー」のようなものです。
この視点に気づくとき、お金との付き合い方は、確実に大きく変わり始めます。

お金の正体は「やりとりされる感謝」
たとえば、コーヒーを一杯買うとき。
その一杯の中には、
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コーヒー豆を育てた人
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それを収穫し、運んだ人
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焙煎した人
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お店で淹れてくれた人
たくさんの人の時間と手間が、目に見えない形で詰まっています。
私たちが支払うお金は、その人たちに向けた「ありがとう」のバトンのようなものです。
「おいしいコーヒーを飲ませてくれて、ありがとう」
「ここでひと休みさせてくれて、ありがとう」
お金は、その感謝を乗せて流れていくエネルギー。
そう考えると、
「支払い=減る」
「損をする」
と感じていた感覚が、少しやわらぐかもしれません。
仏教でもキリスト教でも、「与えること」と「感謝すること」の大切さが繰り返し語られてきました。
与えるときに心が閉じていると、豊かさの流れも細くなります。
逆に、与えるときに「ありがとう」を込めるほど、その人の中で豊かさの器は大きくなっていきます。
「ありがとう」で支払うと何が変わるのか
支払いのたびに、心の中で小さく「ありがとう」と言ってみる。
実はそれだけで、現実の感じ方が変わっていきます。
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同じ光熱費でも、「生活を支えてくれてありがとう」と思えば、ただの請求書ではなくなります。
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税金の支払いも、「社会の仕組みを維持してくれてありがとう」と見方を変えることができます。
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コンビニでの少額の支払いでさえ、「今、ここで必要なものが手に入るってありがたい」と感じることができます。
もちろん、制度への不満や、「本当はもっとこうなればいいのに」という思いがあってもかまいません。
それでも、今この瞬間、自分が受け取っているものに目を向け、「ありがとう」を添えてお金を払うことはできます。
ここで起こる一番大きな変化は、
「奪われている感覚」から「自分から与えている感覚」へのシフトです。
同じ1万円を払っても、
「取られた」と思うのか、「感謝を込めて支払った」と感じるのかで、心の状態はまったく別物になります。
そして不思議なことに、「感謝を込めて与える」ことに慣れていく人ほど、
まわりからの信頼が増え、仕事のチャンスやご縁も増えやすくなります。
お金は、人の信頼やご縁を通じてやってくるからです。
小さな支払いで練習してみる
いきなり大きな金額で意識を変えるのは、少しむずかしいかもしれません。
そこでおすすめなのは、日々の小さな支払いから始めることです。
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自動販売機で飲み物を買うとき
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バスや電車に乗るとき
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スーパーで食材を買うとき
心の中で、ほんの一瞬でいいので、
「この便利さを使わせてくれて、ありがとう」
「この商品をここまで届けてくれて、ありがとう」
と、言葉を添えてみます。
声に出さなくても大丈夫です。
ただ、お金が「減る瞬間」ではなく、「感謝を渡す瞬間」なんだ、とイメージしてみてください。
最初は少し不自然に感じるかもしれません。
それでも続けていくと、「支払い=不安」という思い込みが、だんだん弱まっていきます。
受け取るときこそ感謝を意識する

もう一つ大切なのは、「受け取るときの感謝」です。
給料、売上、ボーナス、臨時収入。
お金を受け取るとき、つい「これだけか」「もっと欲しい」という気持ちが先に来てしまうことがあります。
けれど、そのお金は、
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あなたを信じてくれたお客様
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あなたに仕事を任せた会社
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あなたの商品やサービスを選んだ人
そうした人たちからの「ありがとう」が集まった形でもあります。
「こんな自分にお金を払ってくれて、ありがとう」
「自分の時間や能力を役立てる場をくれて、ありがとう」
そう思いながら受け取ることで、自分の存在価値を、静かに認めていくことができます。
自分を認められる人は、仕事の質も上がり、さらに信頼されていきます。
その積み重ねが、結果として収入や豊かさの土台になっていきます。
感謝でお金を動かす人が、最も豊かになる
これからの時代は、ただ「たくさん稼ぐ」だけでは不安が消えにくい時代です。
物価も働き方も世界情勢も、予測がむずかしいからです。
だからこそ、
「自分は、感謝を込めてお金を受け取り、感謝を込めてお金を流している」
という感覚を育てていくことが、とても大切になってきます。
お金は『感謝』のエネルギーで動いている――
そう決めて生きる人は、
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支払うときも、受け取るときも、自分の価値を感じられる
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他人と比べて落ち込む時間が減っていく
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「足りない」ではなく「足りているもの」に気づきやすくなる
そんな心の豊かさを手にしていきます。
そして不思議なことに、心が豊かになる人のところには、現実のお金の流れも、少しずつ整っていきます。
「この人と仕事をしたい」「この人にお願いしたい」と思われるからです。
今日からできることは、とてもシンプルです。
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ひとつひとつの支払いに、「小さなありがとう」を添える
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お金を受け取るたびに、「ここまで来た自分」と「関わってくれた人たち」への感謝を思い出す
その積み重ねが、あなたの人生に流れるお金のエネルギーを、少しずつ変えていきます。
あなたのお金が、ただの数字ではなく、
「感謝のやりとり」として流れ始めますように。
その変化は、すぐには実感できなくても、確実にあなたの未来を豊かにしていくはずです。
